今から約2500年前に記された孫氏の兵法の内容に触れる機会がありました。
長年読み継がれ、一流のビジネスマンも愛読書とされているだけあって、たくさんの学びがありました。
ご存じの方も多いと思いますが、今の戦略として生かせるところをぎゅっと4つのエッセンスにまとめてみました。
戦わない
兵法というだけあって、戦(いくさ)に対する戦法や考え方について説かれているのですが、繰り返し伝えられているのは「戦わない」ということなのです。
勝つ方法が知りたい、勝ちたいのにと思う方も多いと思いますが、まずは戦わないこと、負けないことが大切であると述べられています。
戦いとはそもそも国家にとって、国の存亡をかけた重要な出来事です。
戦をすると、準備や装備、食料などの確保に莫大な資金と労力を使います。
そのうえ負けてしまえば、国土はおろか国民の命まで危険にさらしてしまうほどのことです。
戦をどうしてもせざるを得ないのであれば自軍の兵力や人材、次期や陣地、大義名分が適切であるかを判断し、準備に準備を重ね負けない戦をしなければなりません。
戦わないといっても、逃げて逃げて攻められるのを待つのではなく、戦わずに相手を降伏させられること、自軍も相手も無傷であるのが望ましいとのことです。
よく漫画である、小悪人が圧倒的な強さの違いからくるオーラに押されて戦う前に「!!こいつはケタ違いだ・・・かなわねぇ!ずらかるぞ!」ってやつですね。
戦わずに勝つには準備、計画が必要です。
そのためには敵の戦力、自分の戦力、状況を知っていくことが必要だと説いています。
有名な「彼を知り己を知らば百戦危うからず」ですね。
敵の弱み弱点、出方を知って己の強み、弱み、実力を知っていれば百戦しても負けないということです。
勝てるではなくて負けないというのがミソですね。
さらには勝てる予想は立てることができるが、必勝できるかどうかはわからないとも言っています。
仕事などでも計画段階で100%成功するだろうと思っていても、予想外のトラブルがあったりイレギュラーが発生し成功の確立が下がっていったり、失敗してしまったりすることもあります。
計画段階で120%、200%と万全の準備をして無理なく勝てる状況を作りましょう。
勝てる土俵で戦う
次にどうしても戦う場合は勝てる戦をしようと説いています。
なんだか卑怯とも取れかねませんが、負ければ国や命を失うのですからそれは当然です。
一般の人が体格に勝る力士に相撲を挑んでも勝ち目はありませんが、マラソンだったら勝てるかもしれない。
ましてやこちらが陸上の長距離選手なら、マラソンで挑んだほうが勝率はぐんと跳ね上がりますよね。
力士に勝つことだけを考えれば相撲を選ぶ必要はないわけです。
現代のビジネスに置き換えて言うと、競合ひしめく飽和した市場に、他社と同質の製品・サービスで新規の資金力も知名度もない企業が参入しても勝ち目はないよねと言い換えられますね。
逆に未開拓のブルーオーシャンであれば労力と時間をかけて打って出ても十分勝てるのでそちらを選んだほうがいいと言えます。
戦地には敵より先に赴き、万全の準備を整えたうえで迎え撃ちましょう。
己を知り、強みを知ることでその自分のフィールドに相手を誘い込んで戦おうということです。
タイミングとスピードが大事
有利な状況で戦うにはタイミングとスピードが大切です。
激流の水が岩をも流すのは勢いがあるからです。
貯めて貯めて一気に解放された水の力は同じ水の量でも流し続けたものより強くなります。
攻めるときは力をためて、タイミングを見計らって一気に放ちましょうということです。
ゲームの「ため攻撃」のようなものでしょうか。
攻撃の間合いに入るのを待ち、入ったら貯めた力を一気に解放し攻撃をする。
加えて戦いは欺くことだともいわれています。
油断させて間合いに入らせることも忘れてはいけません。
できないそぶりで油断をさせて、隙がみえたら素早くたたく。
また、戦は長引かせると資金もかかりますし、徐々にエネルギーも消耗してしまいます。
行けると思ったときに一気に注力して打って出ましょう。
そしてその動きを悟られないように待つときは林のように静かに。あの有名な「風林火山」の言葉です。
風のように早く、待つときは林のように静かに、攻めるときは燃え盛る火のように、動かないときは山のようにどっしりと構え、陰のように姿を見せず、動くときは雷のように突然現れる。
それぞれのフェーズでそれぞれのタイミングに合わせた最適な行動を素早く行いましょう。
情報には金銭を惜しまない
相手の戦力を図るにも、己の強さを図るにも、打って出るタイミングを知るにも、攻めるための作戦を練るにもその判断基準となる情報が必要となります。
正確な情報をとらえることで、その精度は高まっていくでしょう。
その基となる情報を得るための労力や出費を惜しまないようにしましょうということです。
労力や出費をケチったがために情報が不十分なまま敵に攻め入って、思った以上の兵力を抱えていたり、実は罠だったりしたときに、そこでケチった以上に大きいツケを払うことになります。
新規エリアに事業を展開するときも、そのエリアの市場の情報や、競合の情報、顧客情報などがないと戦略が打てず、撤退し無駄な出費がかさむだけになってしまいます。
それほど情報というもの、先に知っているということが重要なのです。
まとめ
そのほかにも学びはたくさんあったのですが、特に重要だと思ったことをまとめてみました。
2500年も前に書かれているのに現代の状況にも当てはまる、ずっと読み継がれてきたすごさを実感しました。
賢く生き抜いていくためには欠かせない情報でしたね。
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